ロイターから、「人工甘味料アスパルテーム、WHO機関が初めて発がん可能性リスト掲載へ=関係者」というニュースが流れ話題になっています。
というのも、アスパルテームは広く使われている人工甘味料だからです。
今回は、
- アスパルテームが発がん可能性リストに掲載されるということはどういうことなのか?
- アスパルテームはどんなものに使用されているのか?
- そもそもアスパルテームとは何なのか?
という3点について見ていきたいと思います。
アスパルテームが発がん可能性リストに掲載されるということはどういうことなのか?
ニュースでは、アスパルテームが世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)によって、「ヒトに対する発がん性を持つ可能性」のリストに掲載される、とされています。
これを理解するには、国際がん研究機関(IARC)とはどんな機関で、「ヒトに対する発がん性を持つ可能性」のリストとは何なのかを理解する必要があります。
国際がん研究機関(IARC)とはどんな機関なのか?
国際がん研究機関(IARC)は、正式名称をInternational Agency for Research on Cancerと言い、世界保健機関(WHO)の外部組織です。
活動目的は、そのHPによれば、端的に言うと「がん予防のためのがん研究」ということになります。もう一つの大きな目的として、がん研究における国際協力を促進することも掲げられています。
もう少し詳しく書くと、国際がん研究機関(IARC)は、学術的な機関なので、がんの原因を特定することにより、予防策を採用し、疾病とそれに伴う苦痛の負担を軽減することを目指して活動しています。
上のような活動の一つとして、化学物質、放射線やウイルスなどの人に対する発がん性を分類して公表しています。
これが、「ヒトに対する発がん性を持つ可能性」のリストです。
「ヒトに対する発がん性を持つ可能性」のリストとは何か
「ヒトに対する発がん性を持つ可能性」のリストは、国際がん研究機関(IARC)が発表している発がん性分類と言われるものです。
注意しなければいけないのは、
このリストは、その物質の発がん性の可能性について分類したものであり、発がん性の強さを評価したものではありません。
ということです。
この発がん性の可能性は4つに分類されています。
グループ1:ひとにたいして発がん性がある
グループ2A:ひとにたいしておそらく発がん性がある
グループ2B:ひとに対して発がん性があるかもしれない
グループ3:ひとに対する発がん性について分類できない
では、普段身近に感じられるものを例に、どんなものがどのグループに分類されているかを見てみましょう。
グループ1:アスベスト、アルコール飲料、加工肉、たばこの喫煙
グループ2A:65℃以上の熱い飲み物 、美容・理容に従事、日焼けランプの照射、シフト勤務
グループ2B: 鉛、重油、ガソリン、大工・建具作業に従事、ドライクリーニングに従事、印刷作業に従事
全部の分類リストはWikiのIARC発がん性リスク一覧で見ることができます。
このように、発がん性の可能性について見れば、日々の生活において摂取しているものも多くあります。
今回、アスパルテームはリストに載るとのことですが、グループ1であるような知見は無いと思いますので、グループ3、グループ2B、グループ2Aのどれかになるとは思うのですが、管理人の予想では、グループ2Bの可能性が高いと思います。
アスパルテームはどんなものに使用されているのか?
アスパルテームは広く使用されていると言われていますが、どんなものに使用されているのでしょうか?
アスパルテームがどんな食品に使用されているのかということを調べてくれているサイトがあります。
- 恩賜財団母子愛育会のHP下にあるアスパルテームを使用した商品のL-フェニルアラニン含量について
ただし、2014年の情報と思われるので多少データが古い。 - シュフログのいくつ知ってる?アスパルテーム食品リスト
何時のデータかわからないが、上のデータより新しいと思える。
これらのサイトの情報や各企業のHPで確認すると、炭酸飲料、ガム、粉末飲料、飴、口中清涼菓子(ミンティアやフリスクなど)、ゼリー、乳酸菌飲料、米菓、機能性食品(アミノバイタル、ザバスなど)などいろいろな食品に使用されています。
これのほかにダイエット用のパルスイートやスリムアップシュガーにも含まれています。
では、日本ではどのくらいのアスパルテームが使用されているのでしょうか?
少し古い資料にはなりますが、
独立行政法人農畜産業振興機構の平成27年度甘味料の需要実態調査の概要~人工甘味料(アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース)~
によれば、
アスパルテームの国内需要量は、約480トンで、用途別の内訳は飲料向けが50%、ガム・タブレット向けなどが35%、チルド商品・その他向けが15%となっています。
国内では味の素が製造していますが、輸入品も流通しています。平成27年の輸入量は約155tです。
そもそもアスパルテームとは何なのか?
では、そもそもアスパルテーム(aspartame)とはどのような物質なのでしょうか?
アスパルテームは、人工甘味料の一つで、砂糖の100-200倍の甘さを持っています。
カロリーは砂糖とほぼ同じなのですが、甘さが100倍もあるために、使用する量は非常に少なくてすみます。
アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンという二つのアミノ酸を原料にしています。
まあどうでもいいかもしれませんが、構造式はこんな感じです。
人工甘味料に関する発がん性の研究については、管理人は全く詳しくありませんが、ネット上を探ると
CareNetの人工甘味料の摂取はがんリスクの上昇に関連やメディカルオンラインの人工甘味料の発癌リスクは:フランス発最大のコホート研究などが見つかります。
この二つの根拠となっている論文は同じで2022年3月にフランスのDebras博士らのものです。この論文は、アスパルテーム単品に関する評価ではなく、人工甘味料全体の評価となっています。
更には、以前に食品安全委員会が調査した情報で動物試験の結果なども報告されています。こちらは、アスパルテーム単品の投与に関する試験です。
このような動物試験の場合は、人間に換算してみるととてもありえないような量を投与しているのが普通です。もちろんだから無害というわけでもありません。
リスクの回避方法はある
アスパルテームが国際がん研究機関(IARC)の発がん性分類グループ2Bに掲載されたとしたらどうすればいいのでしょう。
上にも書いたように、あくまでこの分類は発がん性の強さでは無く可能性の分類です。発がん性の強さはデータは、管理人の調査能力では現時点では不明です。
ですが、気になる方もいるでしょう。
そのような方は、単純に
- ○○ゼロのような炭酸飲料を飲むことを避ける
- ガムや口内清涼剤の摂取を避ける
- 加工された乳酸飲料を避ける
- 機能性食品を摂取するくらいに健康や体力に気を使っている方の場合は、成分情報を読む
といった行動をするだけで、人工甘味料の摂取を大幅に減らすことができます。
発がん性分類だけで言えば、グループ1であるアルコール飲料を飲んでる方もいるでしょうし、グループ2Aである65℃以上の熱い飲み物を飲む方も多いでしょう。
どの様なリスク回避手段をとれるのかを考えることの方が重要な気がします。
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